野良猫よりも強かった自慢の「オンドリ」

友人の子供の頃の自慢の雄鶏のお話です。

ondori
近所のおじさんが、「地域の子供達で欲しい子がいたらあげます。」ということで、公園でヒヨコをもらいました。
養鶏場を経営する人がメスのヒヨコだけを手元に残し、オンドリになるであろうヒヨコを処分することになっていたのをもらってきたそうです。

友達も私も可愛いヒヨコに大喜びしてもらいましたが、その頃近所にたむろしていた野良猫やカラスに獲られてしまう事件が多発したものです。

そんな中、たった一羽育った私の鶏は、真っ白な身体に真っ赤なトサカもりりしいものすごく立派なオンドリに成長しました。
朝、日が昇ると大きな声で「コケコッコオオオオオ。」と鳴きます。

花壇を掘り返してミミズを食べ、庭の池で金魚やドジョウを「狩り」、近所の人が感心するくらい立派な鶏に成長したのです。
もちろん花壇を大事にしていた祖父からは「花壇周辺と池は鶏の出入り禁止」措置がとられたことは言うまでもありません。

小学生だった私のランドセルくらいあったでしょうか、名前を呼ぶと庭のどこにいてもあわてて走ってくるくらい懐いていました。
鶏ながら、自分の名前をきちんと覚える彼を私は「頭もいいんだ」と自慢に思っていました。

ここまで大きくなると、野良猫もうっかり手を出すことができません。
あるとき私がいつものように名前を呼ぶと、走ってきた鶏にいきなり猫が飛び掛ったのです。
木の陰に隠れていた猫に気がつかなかった私は、思わず悲鳴をあげました。

ところが鶏自身は落ち着いたものです。
立ち止まると、キッと猫の方を向き、パッと空中に飛び上がると強烈なキックをお見舞いしたのです。
鶏の上から飛び掛って押さえ込めると思っていた猫は、見当がちがってびっくりしたのか頭にまともに蹴りをくらって庭のすみに飛ばされてしまいました。

いきなり怒りの最高点に達した鶏は、なおも追いかけてクチバシでつつく、翼ではたく、などを繰り返します。
「彼」の体重がどのくらいあったかわかりません、子供の私には5キロくらいにも思えるくらいでしたが、本当はもっと軽かったでしょう。
でもランドセルサイズの鳥から攻撃されて、たじろがない猫はいないと思います。

あわてて逃げ出した猫をなおも追いかけようとする鶏を必死で呼び止めたのでした。

もちろん、鶏自身は何事もなかったかのように「おやつ、もらえるの。」といった顔で「コッコッコッコッコ」と甘えた声で鳴きながら歩いてきました。

すぐに抱えて体を調べましたが、怪我もなくケロッとしたものでした。

このことがあってから、今までよりも厳重に猫に警戒していたのですが、野良猫です、どこからでも入ってくるのです。
でもそのたびに鶏に追い掛け回されることが重なったからでしょうか、とうとうパッタリと姿を見なくなりました。

ヒヨコのときにたくさんの兄弟たちと一緒に「いらないヒヨコ(鶏)」として近所に配られた「彼」、こんなになるとは誰も想像していなかったと思います。

羽のツヤもよく・力も強ければ身体も大きい私の鶏は友達の間でも自慢でした。
年配の先生からは「すき焼きにすると美味しいよ」なんてからかわれていましたが、そんなこと考えもつかなかったのです。

数年後に病気で天国に行ってしまうまで、近所の野良猫やカラスの「アンタッチャブル」だった鶏でした。

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