家族の仲を深めてくれた桜文鳥の存在

Sさんの家族にたくさんの笑顔をもたらしてくれた桜文鳥クロのお話です

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私は小学6年生から高校2年生になるまで桜文鳥を飼っていました。
それまで我が家で飼ったことのある動物は金魚だけで、直接触れ合う動物は初めてでした。
飼いかけたきっかけは友人が旅行で家を空ける間にハムスターを一週間ほど預かったことです。
自宅に金魚以外の動物がくることがとても嬉しく、基本的にべたべた触るようなことはできませんが、巣に隠れているのをじっと眺めているだけでもワクワクしていた覚えがあります。
この経験からどうしても自分でもハムスターを飼ってみたいとワガママを言い「死んでしまうときにすごくツラいよ?」と、あまり乗り気でない親を無理やりひっぱってペットショップに向かいました。

そのペットショップではハムスターは二階の奥のスペースで飼育されていたのですが、そこへ向かう通り道で「ピー!ピー!」と元気な鳴き声がし、思わずそちらへ目を向けると、みたことのない鳥がいたのです。
私がその鳥をじっと見つめていると、後ろから来た母が「あっ、これ手乗り文鳥だよ。一時期流行ったんだよね。かわいいねー」と声をかけてきて続けて「文鳥なら一緒に遊べるしいいんじゃない?」と言ってきました。
私はハムスターを飼いたいと思ってペットショップを訪れたはずなのですが、今になって考えると実際にはなんでも良いからとにかく動物を飼ってみたいという気持ちでいたのかなと思います。
かなり昔のことなので細かい経緯までは覚えていないのですが、結局そのときに見た文鳥を購入することになりました。
自宅に連れ帰って小さなカゴから出してあげると、文鳥は初めてみる環境に驚いたのか部屋中を壁にぶつかりながら飛び回ります。
家族みんなでようやく捕まえて一緒に買った大きなカゴに移してあげしばらくすると、止まり木で首をかしげるような仕草をしながらがらも動きは落ち着いてきました。
私と飼っていた文鳥の出会いはそんな風で、今でも飛び回っていた光景はよく覚えています。

名前は黒かったので、父がクロと名付けました。
私はクロに家族の誰よりも懐いてもらおうと毎日学校から帰ったらカゴからだして一緒に遊んでいました。
手乗り文鳥という言葉だけが頭の中に残っていたので人に寄ってくるのかなと思っていたのですが、そんなわけもなく最初はとにかく慣れてもらうことから始めて、ひと月もした頃にようやく肩に乗ってくれるほどになりました。
人に懐くようになると、飼うことに乗り気でなかった親もだんだんと可愛がりはじめます。
なかでも最も飼うことに否定的だった父が毎日仕事から帰ってくると一緒に遊び、休日にはカゴを掃除してあげるなど溺愛していたことは今でも家族の笑い話になっています。
そのような家族にたくさんの笑顔をもたらしてくれたクロですが、私たちを驚かせるようなこともしてくれました。

ある日学校から帰宅した私はいつも通りクロをカゴから出して一緒に遊ぼうと開け口から手をいれます。
いつもならまだ手も入れてないくらいのタイミングで食い気味に巣をとびだしちょこんと乗ってくるのですが、その日はなぜかまったく動かないのです。
それどころか手を差し出すと「ビィービィー」と威嚇するような声を出します。
おかしいなと思って観察しているとなんとお腹の下に白い卵があったのです。
私たち家族はてっきりオスと思ってクロを育ててきていたのですが、このときにメスだと判明しびっくりさせられました。
このようなたくさんの笑いと驚きを与えてくれ、命の大事さも学ばせてくれたクロにいまでもとても感謝しています。

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