H美さんが三毛猫の『タコ』ちゃんとの思い出を語ってくれました。
昔、実家で飼っていた猫の話です。
猫を飼い始めたキッカケは、小学生だった兄が勝手に猫を貰ってきてしまったからです。
元々、猫を飼いたがっていた兄は、友人と一緒に子猫が産まれた近所のお宅によく遊びに行っていたようです。
学校の帰り道、毎日のように立ち寄り『この子を貰う!』と決めてしまい、家族に何も言わないまま子猫を連れてきてしまいました。
急に連れて来たものですから、家族は皆驚いてしまいました。
『拾ってきたのか?』『何処から連れてきた?』『貰ったならお礼は?』とパニック状態です。
中でも祖父は、『猫は盆栽をイタズラする!』と激怒。返してこい?と怒鳴る怒鳴る。猫が来た喜びよりも、祖父の怒りで兄も私もギャンギャン泣きました。
最終的には『ネズミ退治をしてくれるから』と、祖父が折れて、兄は大喜び。
父と兄が改めて猫を譲ってくれたお宅に挨拶に伺い、無事に猫は家族の一員になりました。
その猫は白地に茶と黒が少しづつ混ざった三毛猫でした。
兄は名前を『チビ』と付け可愛がりました。
何故か祖父も祖母も両親も『タコ』と呼んでいたので私も『タコ』と呼び兄に怒られていました。
何故、猫なのに家族皆が『タコ』と呼んでいたのかは未だに謎です。
この猫が兄と私にとっての初めてのペットです。
私が撫でたり遊んだりしていると、兄が少し怒って猫を連れて行ってしまうので、つまらない思いをしたものです。
『チビ』を飼ったあとは、ずっと我が家には猫がいました。それも三毛猫ばかりです。
祖母が『三毛猫は縁起が良いから』と、言っていた記憶があります。
名前もいつしか『タコ』が定着し、『三毛猫のタコ』がいる家になりました。
実家は田舎で、猫は家と外とを行き来するもの、という認識でしたので、中には帰ってこなくなる猫も居ました。
病気だったり、寿命だったり、事故だったり・・・理由は色々とありますが、猫とはそういうものといった認識が出来上がり、大人になってから完全に家から出さない『家猫』がいることを知り、カルチャーショックを受けました。
何匹も『タコ』はいましたが、やはりそれぞれ性格は全く違い、猫も個性豊かなんだなと知りました。
人間と遊ぶのが大好きな猫もいれば、廊下の陽の当たる場所で寝てばかりの猫もいたり。
中には妙に人間臭い行動をする猫もいました。人間臭いと云うより、自分の事を猫ではなく人間だと思っているのでは?と思えるような猫の行動をよく見かけました。
何やら喋りながら食事をする猫。家族がコタツに居ると、中に入れろと訴える猫。
そのなかでも強烈に記憶に残っているのは、布団の上で仰向けに寝転がり、両手(前足)をバンザイして脚を伸ばして寝ている猫!『寝相が(私と)一緒になってる・・・お前は猫じゃないのか』とボソッとツッコミを入れた母。
つついても起きないどころか寝言?を云う猫が可愛らしくて『お前はもう人間でいいよ~』と日々メロメロになりながら過ごしていました。
今でも実家には猫がいます。残念ながら『タコ』達の子孫ではありませんが、両親に可愛がられ暮らしています。名前は非常に犬っぽい『チャッピー』です。
由来はやはり謎のままです。