4匹のモルモットを飼っていたIさんのお話
過去に4匹のモルモットを飼っていたときの話しです。
その子たちは最初から4匹だったわけではありませんでした。
まだ性別の不明な1匹のモルモットをペットショップから買ってきたところ、その子のお腹に赤ちゃんが宿っていて、ある朝突然出産したのです。
妊娠を知らなかった私は突然のことに驚くと同時に深い喜びを感じました。
何故なら、この子を飼う前に4匹のハムスターを相次いで亡くしていたからです。
ペットショップから連れてきた子は、まるでハムスターのシルエットのような模様が背中にあって、それがとても印象でした。
その子が3匹の子を出産して4匹になったとき、私はこの子たちが亡くなったハムスターの生まれ変わりだと思い、手放すことなど考えられず我が家でみんな育てました。
4匹はそれぞれ個性があり、母親モルモットは強くて優しい子でした。
出産前は甘えん坊だったのに、出産直後はゲッソリやつれながらも懸命に子どもたちの世話をしていました。
残念ながら2年半と短命でしたが、短い寿命の中で懸命な姿をたくさん見せてくれたこの子は、私に大切なものをたくさん届けてくれた天使だと思いました。
長女モルモットは控えめで慎重、でも怒らせると一番怖い子でした。
控えめで大人しいこの子は、餌を食べるときも遊ぶときも抱っこされるときも、他の子を優先させてあげるような子でした。
その分、この子が一番長生きしてくれました。
もしかしたら自分はこの中で一番長く生きられることが分かっていたのでしょうか、最後に一匹残ってからはまるで今までを取り戻すかのように、たくさん甘えてくれました。
それでも生まれたときから親兄弟と一緒だったため、一匹残った寂しさというのは人間では埋められないものがありました。
この子の最期は、部屋中に残っている親兄弟の匂いを確認するように歩きまわっているときに、突然パタンと倒れてそのまま息を引き取ったのです。
5年半の命でした。
大病することもなく手を煩わされたこともありませんでした。
最後くらい手をかけさせてもらいたかった思いましたが、この子らしい最期だと思いました。
長男モルモットは唯一のオスということがあり、これ以上飼えない我が家では他の子とケージを離すことにしました。
それが生後一ヶ月のときです。突然ケージを別にされた日の光景は今でも忘れられません。何で自分だけ離されるのか分からず、隣のケージに向かってずっとキーキー鳴いていたのです。
母親モルモットだけは何かを察した表情だったことも忘れられません。
この子は顔にまるで稲光のような模様があったのですが心の優しい大人しい子でした。
デリケートでお腹が弱く、主に世話をしていた私の母が用事で外出しているときなど、よくお腹を壊して、母が帰って抱っこすると治るということがよくありました。
長女モルモットに好意を持っており、必死にアプローチするも全然相手にされなかったときの落胆した姿も忘れられません。
でも決して相手の嫌がることはせず、少し離れた場所からひっそりと長女モルモットを見つめる姿がとても可愛かったです。
よく体調を崩しながらも5年間生きてくれました。
末っ子モルモットは一番の甘えん坊で、私に一番懐いてくれました。
私がいないとダメな子で、よく「ママ(私のこと)がいなくなったらどうするの?」などと言いましたが、本当は私がいないとダメなこの子がとてもいとおしくて仕方ありませんでした。
奔放な性格でもあり、長女モルモットとは対照的でした。
それでもこの子も優しい子でした。
長男モルモットが長女モルモットにアプローチしても相手にされないときなど、まるで慰めるように長男モルモットのケージのところにいき、何かお喋りしてました。
この子はよく夜泣きもしました。夜中にキューキューと鳴いていると自然と私の目が覚めて、落ち着くまで子守歌を歌いながら抱っこしていたことが今でも忘れられません。
この子は3年半の命でした。
この子が生きている間、まだ20代初めの幼い私でも母親らしい気持ちを感じることができました。
病気で亡くなってからしばらくペットロスになりましたが、やはり私を立ち直らせてくれたのもこの子たちの思い出です。
嬉しかった誕生の日からケージを離した日、思いっきり遊ばせた日も病気で苦しんでる姿を見て辛かった日も、どれも私にとってあの子たちとのかけがえのない日です。
4匹のハムスターを亡くして悲しみに暮れていた私に初めて、この世に命が生まれてくる喜びと希望を教えてくれたこの子たちは、私にとって天国からきてくれた天使たちだと思っています。いつまでも自慢の子たちです。